原因と結果の場所が異なる場合の事故

個人的には今回のようなケースでの告知の判断を注意しなければならないと考えております。

 

事故の原因は建物内だが死亡場所が建物外である場合

売買の事例となりますが東京地判平20.4.28の事例です。

住人がマンションの一室から飛び降りて公道で死亡した事実について告知義務を認定しました。

 

東京地判平21.6.26では

マンションの一室で睡眠薬を大量に服用した入居者が病院に搬送され

2~3週間後に病院で死亡した事実について

本件建物内で睡眠薬自殺があったと言われても誤りとまでは言えない

として告知義務を認めました。

 

売買事例なのでそのまま賃貸に当てはめるのは少し無理がありますが

結果が建物外で発生しても原因が建物内にある場合は

そこに心理的瑕疵があるとの裁判所の評価は参考にせざるを得ないのではないでしょうか?

 

なお東京地判平21.6.26では病院で長期間生存していたことが一要素として考慮され

心理的瑕疵の程度は極めて軽微であると判断されたようです。

病院等である程度の期間生存したのちの死亡の場合は

心理的瑕疵の程度は低く評価されることがあるようです。

 

そもそも

心理的瑕疵とは

その「場所」で人が死んだという事実を嫌悪する人間の心理を

法的に評価したものとなります。

そうであれば死亡事故が発生した具体的な場所によって

評価や対応は異なることになるでしょう。

 

オーナーさんとしては所有する物件やその周辺で死亡事故が発生した時の対応について

事前に考えたり管理会社等と協議しておくことも有益なのではないかと思います。

このページの先頭へ戻る